こんにちは!やっすんです!
2024年9/23(月) 19:51、ロシア機が日本の領空へ侵犯したとのニュースがありました…! ロシアはなぜ日本へ領空侵犯したのでしょう。 そもそも「領空」とは何なのか、解説したうえで深堀していきます。そして日本側での対応である「フレア」というのはいったい何なのか、こちらについても解説していこうと思います。
林官房長官は先ほど官邸で緊急会見を行い、ロシア軍の哨戒機1機がきょう午後、日本の領空を侵犯したことを明らかにしました。 このロシア軍の哨戒機はきょう午後1時台から3時台にかけて、北海道の礼文島北方の日本の領空を3度にわたって侵犯したということです。 これを受け、航空自衛隊は戦闘機を緊急発進させ、領空侵犯に対する措置としては初めてフレアによる警告を行ったということです。
【速報】ロシア機が領空侵犯、航空自衛隊機が初のフレアによる警告 林官房長官「極めて遺憾」(TBS NEWS DIG Powered by JNN) – Yahoo!ニュース
領空とは何か
領空(りょうくう)とは、国際法に基づき、各国が自国の主権を及ぼすことのできる空域を指します。具体的には、領土や領海の上空に広がる空間であり、各国はその領空に対して完全な主権を有しています。この主権は、領空を通過する航空機の管理、監視、許可の付与など、多岐にわたります。領空は、国家の防衛や安全保障にとって極めて重要な要素であり、領空の侵犯は国家間の緊張や紛争を引き起こすこともあります。この記事では、領空の定義、範囲、国際法における位置づけ、そして領空をめぐる国際的な問題や管理方法について詳しく解説します。
領空の定義と法的根拠
領空の概念は、各国が自国の領土および領海の上空に存在する空間に対して完全な主権を持つという国際法に基づいています。この主権は、地上と同様に、空域においても国家の管理権を確保するものであり、他国の航空機が無許可でその空域を飛行することは国際法違反となります。領空の主権は、国連が制定した「シカゴ条約」(正式には「国際民間航空条約」)において明確に定められています。1944年に採択されたこの条約では、各国が自国の領空に対して完全な主権を持つことが確認され、国際的な航空交通の基礎となるルールが確立されました。
シカゴ条約第1条では、「締約国は、その領域の上空における完全かつ排他的な主権を有する」と規定されており、これが領空の法的な基礎となっています。したがって、領空とは、その国の国境内の地表から上空に向かって広がる空域であり、他国の航空機が無許可で飛行することは、その国の主権を侵害する行為と見なされます。
領空の範囲
領空の範囲は、地上の領土および領海の上空に限定されます。領土は当然ながら、国家が主権を有する陸地部分を指しますが、領海も含まれます。領海とは、海岸線から12海里(約22.2キロメートル)までの海域で、ここも国家の主権が及ぶ範囲です。したがって、領空は、領土と領海の上空に存在する空間を包含することになります。
領空の垂直的な範囲、つまりどの高度まで国家の主権が及ぶかについては、国際法で明確な規定は存在しません。しかし、一般的には「宇宙空間の始まり」を超える高度までは各国の主権が及ぶとされています。宇宙条約(1967年採択)では、宇宙空間は全人類の共通財産であり、いかなる国家の主権も及ばないと規定されていますが、その境界がどの高度に設定されるかについては、依然として国際的な合意がありません。ただし、慣習的に高度100キロメートル(カーマン・ライン)を超えた空域が宇宙空間と見なされることが多いです。このため、100キロメートル以下の空域は領空として扱われる傾向があります。
領空における国家の主権
国家は領空に対して主権を持ち、その空域を通過する航空機に対して管理・監督する権利を有しています。これには、航空機の飛行計画の承認、通過許可の発行、領空侵犯の防止などが含まれます。また、民間航空機と軍用航空機では扱いが異なる場合があり、特に軍用航空機が他国の領空を飛行する場合、事前に許可を得ることが厳しく求められます。
国際民間航空機は、飛行するために通常、各国の航空当局から事前に飛行計画を提出し、許可を得る必要があります。この許可がない場合、航空機はその国の領空を合法的に通過することができません。また、国際航路上を飛行する際も、特定の空域においては制限や規制が設けられることがあります。特に国際紛争や戦争が発生している地域の領空では、国際民間航空機の安全確保のため、領空閉鎖が行われることもあります。
軍用機の場合、他国の領空を飛行するには事前の外交交渉が必要です。無許可での領空侵犯は重大な国際問題を引き起こす可能性があり、緊急時や軍事的緊張が高まる状況では、撃墜されるリスクすらあります。例えば、冷戦時代には、米ソ両国が互いの領空を侵犯する事例が多く見られ、そのたびに国際的な緊張が高まりました。
領空侵犯とその影響
領空侵犯とは、他国の航空機が無許可である国の領空に侵入することを指します。このような行為は、その国の主権に対する重大な侵害であり、しばしば外交問題に発展します。領空侵犯が発生した場合、国は防空識別圏(Air Defense Identification Zone, ADIZ)内で航空機を監視し、戦闘機のスクランブル発進や警告、さらには撃墜などの対応を取ることがあります。
領空侵犯は、意図的な場合もあれば、偶発的なミスによる場合もあります。偶発的な侵犯は、天候不良や航行システムの誤作動などが原因となることがありますが、軍事的偵察や監視活動として意図的に行われることもあります。意図的な侵犯は、相手国の防空システムの反応を探るためや、政治的・軍事的圧力をかけるために行われることが多いです。特に、領土問題を抱える国同士では、領空侵犯はしばしば外交的な挑発行為として見なされます。
防空識別圏(ADIZ)の役割
防空識別圏(ADIZ)は、領空外に設定される空域で、各国が自国の防空を強化するために設けています。ADIZ内では、他国の航空機は事前に識別情報を提供し、飛行計画を通知することが求められます。この空域は領空そのものではありませんが、国家の防衛に関わる重要な空域として管理されています。
防空識別圏は、冷戦時代に米国やソ連をはじめとする多くの国で設定され、現在も多くの国が自国のADIZを運用しています。ADIZ内で未確認の航空機が飛行している場合、各国の空軍が戦闘機を発進させ、その航空機を確認し、必要に応じて領空侵犯を防ぐ対応を取ります。
領空と宇宙空間の境界
領空の上限、つまり宇宙空間との境界については、国際的な合意がまだ存在していません。しかし、一般的には「カーマン・ライン」と呼ばれる高度100キロメートルがその基準とされています。このラインを超えた空間は宇宙空間とされ、国家の主権は及びません。宇宙空間における活動は、宇宙条約によって規制されており、いかなる国家もその空域を独占することはできません。
領空を巡る国際的な問題
領空に関連する国際的な問題としては、領土紛争地域での領空主権の扱いや、特定地域における領空侵犯の頻発などが挙げられます。例えば、南シナ海や中東などの紛争地域では、領空を巡る対立が頻繁に発生しており、軍事的緊張を高める要因となっています。
また、技術の進歩に伴い、無人機(ドローン)の領空侵犯が新たな問題として浮上しています。無人機による領空侵犯は、監視活動や偵察を目的とする場合が多く、これに対する各国の対応が今後の課題となっています。
なぜ領空侵犯をするのか?
次に「領空侵犯」をなぜするのか、考えられる理由を紹介します。(今回のロシア機侵入の理由にそぐわない点も含みます。)
領空侵犯とは、ある国の航空機が他国の領空に無許可で侵入する行為を指し、国家間の緊張を引き起こす事態です。国際法では、各国は自国の領空を主権の一部として完全に管理する権利を持っており、無許可の侵入はその主権を侵害する行為とみなされます。領空侵犯は単なる偶発的なミスから、戦略的意図に基づくものまで、さまざまな理由で発生します。
偶発的なミス
領空侵犯の最も一般的な理由の一つは、パイロットや航空機のシステムの誤作動による偶発的なミスです。天候の悪化や、航空機の航行システムの故障、ナビゲーションエラーなどによって、パイロットが意図せずに他国の領空に入ってしまうことがあります。この場合、領空を侵犯した航空機は即座に自己訂正し、速やかに元の航路に戻るのが通常です。
例えば、戦闘機や軍用機が訓練中に誤って隣国の領空に侵入することが時折あります。このようなケースでは、関係国が速やかにコミュニケーションを取り、事態の解決を図ることが求められます。偶発的な領空侵犯は、意図的な侵犯よりも緊張を引き起こしにくいものの、特に領土紛争のある地域では依然として深刻な事態となることがあります。
軍事的偵察や監視活動
意図的な領空侵犯の一例として、軍事的偵察や監視活動があります。国は他国の軍事能力や動向を監視するために偵察機や無人機(ドローン)を派遣することがありますが、その際に故意に他国の領空を侵犯することがあります。こうした活動は通常、敵対的な関係にある国や、軍事的に緊張が高まっている地域で見られます。
軍事的偵察には、敵国の防空システムの反応を確認する目的も含まれます。侵入することで、相手国のレーダーや対空ミサイルの位置や能力、指揮・統制の仕組みを把握しようとするのです。このような行動は明確な挑発行為として認識され、しばしば国際的な抗議や外交的な対立の原因となります。
政治的・外交的挑発
領空侵犯は、政治的または外交的なメッセージを伝えるための手段として利用されることがあります。このような意図的な領空侵犯は、他国への威圧や挑発として行われる場合が多いです。特に、国家間における領土問題や軍事的緊張が高まっている状況では、他国の領空を侵犯することで、自国の力を誇示したり、相手国の反応を試したりすることが狙いとされています。
例えば、国境問題を抱える国同士が相手国の領空を侵犯することで、暗黙のメッセージを送り合うケースがあります。このような挑発行為は、戦闘機のスクランブル発進を誘発し、場合によっては領空での緊急対峙(ドッグファイト)に発展することもあります。
緊急避難や技術的トラブル
航空機が技術的なトラブルや燃料切れ、その他の緊急事態に直面した場合、近隣の国の領空に侵入し、緊急着陸を試みることがあります。このような領空侵犯は、意図的なものではなく、乗員の安全を確保するための緊急避難措置として行われます。緊急事態が理由である場合、領空を侵犯された国も通常は柔軟に対応し、事態が解決した後は航空機を速やかに出国させることが多いです。
しかし、緊張状態にある国々では、このような緊急避難であっても疑念が生じることがあります。特に、軍用機が技術的な問題で領空を侵犯した場合、意図的な行動ではないかという疑いを持たれる可能性があります。このため、後に外交的な交渉や説明が必要になることもあります。
人道的目的や救助活動
航空機が人道的な理由で領空を侵犯することもあります。例えば、緊急の医療輸送や災害時の救援活動を行う場合、最も近い空港に着陸するために他国の領空を飛行することが求められる場合があります。災害救援活動や人道的な目的での領空侵犯は、通常、国際社会において寛容に扱われます。
国際的な災害救援ミッションや、紛争地帯での救助活動に従事する航空機は、必要に応じて緊急の許可を得ることがあります。通常、このような場合は国際機関を通じて事前に調整が行われ、他国の領空への飛行が許可されることが一般的です。
訓練や演習中の事故
軍事訓練や演習が行われている最中に、航空機が意図せずに他国の領空に侵入することもあります。国際的な空域はしばしば複雑で、特に海上や山岳地帯では国境線が明確でない場合もあります。このため、演習中に偶発的に他国の領空に侵入してしまうことがあります。
特に軍事演習が行われる地域では、演習の規模や内容に応じて事前に近隣諸国と調整を行うことが一般的ですが、それでも誤って領空を侵犯するリスクは存在します。こうした場合、通常は双方が外交ルートを通じて事態を迅速に収拾しますが、緊張関係にある国同士では問題がエスカレートすることもあります。
反政府勢力やテロリストによる活動
領空侵犯は、反政府勢力やテロリストによっても行われることがあります。彼らは、他国の支援を得るためや、自国の政府に対抗するために、他国の領空を侵犯して活動を展開することがあります。たとえば、武装勢力が他国の領空を通じて移動したり、物資を調達したりする場合があります。このような領空侵犯は、国家間の安全保障に深刻な影響を及ぼし、国際的な対策が求められます。
国際的な政治的意図の表明
領空侵犯が国際的な注目を集めるために行われることもあります。特に、領有権を主張するためや、国際社会に対して自国の立場をアピールする目的で領空侵犯が行われることがあります。こうした行動は、他国との対話や交渉の場を引き出すための一環として利用されることがあります。
【補足】日本側が使用した「フレア」とは何なのか?
戦闘機や軍用航空機には、多様な防衛システムが搭載されていますが、その中でも重要な役割を果たすのが「フレア」(flare)と呼ばれる装置です。フレアは、赤外線誘導ミサイルから航空機を守るために使用される対抗手段の一つで、特に敵のミサイルによる攻撃を回避するために活躍します。以下では、フレアの基本的な機能、使用される背景、仕組み、およびその重要性について詳しく説明します。
フレアの基本機能
フレアは、熱を発生させる物質が詰まったカートリッジであり、戦闘機から発射されると高温の炎を発生させます。この炎は、敵の赤外線誘導ミサイルのセンサーが探知する航空機のエンジン熱よりも強力な赤外線シグナルを発します。赤外線誘導ミサイルは、主に航空機のエンジンから放出される熱を目標としてロックオンし、追尾するため、この強力な熱源であるフレアがミサイルを誤誘導させる役割を果たします。フレアが放出されることで、ミサイルは本来の標的である戦闘機ではなく、より目立つ熱源であるフレアに向かうことになります。
使用される背景
現代の戦闘機は、敵のミサイル攻撃に対抗するために高度な防衛システムを必要としています。戦場において、赤外線誘導ミサイルは非常に脅威となる武器です。赤外線誘導ミサイルは、射程距離が比較的長く、かつ航空機のエンジン熱に反応して自動的に追尾するため、パイロットにとって回避が難しい攻撃手段です。このため、フレアのような対抗措置が欠かせません。
赤外線誘導ミサイルは、特に「ヒートシーキングミサイル」(heat-seeking missile)とも呼ばれ、敵の航空機や地上から発射される場合も多く、対空兵器として非常に一般的です。これらのミサイルは、熱を感知しながら飛行するため、航空機のエンジンなどが発する熱をターゲットとすることが多いです。特に戦闘機が低空飛行中や離陸・着陸時には、敵のミサイルに狙われやすい状況となるため、フレアのような対抗手段が非常に有効です。
フレアの仕組み
フレアの基本的な構造は、熱を発生させる化学物質がカプセルに収められており、戦闘機のフレアディスペンサー(flare dispenser)と呼ばれる装置から発射されます。発射されたフレアは、短時間で高温の炎を発生させ、その熱が赤外線誘導ミサイルのセンサーに検知されやすくなります。多くの場合、戦闘機は一度に複数のフレアを異なる方向に放出することで、より広範囲にわたって熱源をばらまき、敵ミサイルの追尾を妨害します。
フレアの放出は通常、手動または自動で行われます。パイロットが敵のミサイルの接近を確認した場合や、航空機のセンサーがミサイルの追尾を検知した際に、フレアが即座に発射されます。最新の航空機には、ミサイル接近警報システム(Missile Approach Warning System, MAWS)が搭載されており、このシステムが自動的にミサイルの存在を探知し、フレアの放出を制御することもあります。
また、フレアにはいくつかの異なる種類が存在します。通常のフレアは、短時間で高温を発することで赤外線誘導ミサイルを引きつけますが、持続的に熱を発するフレアや、特定の高度や角度で効果的に機能するものもあります。これにより、異なる種類のミサイルに対して最適な対抗策を取ることが可能です。
フレアの重要性と限界
フレアは航空機にとって非常に重要な防衛装置ですが、万能な防衛手段ではありません。敵のミサイル技術が進化する中で、赤外線誘導ミサイルもまた、より精度の高い熱探知能力を持つようになっています。一部の最新ミサイルは、フレアと航空機のエンジン熱を区別するために高度なアルゴリズムやセンサー技術を採用しており、これによりフレアの効果が薄れる可能性もあります。
そのため、戦闘機にはフレアだけでなく、その他の防衛システムも組み合わせて使用されることが一般的です。たとえば、チャフ(chaff)と呼ばれるレーダー妨害用の金属片や、電子戦システム(Electronic Warfare, EW)が組み合わさることで、敵のミサイル攻撃に対してより効果的な対抗策が講じられています。
さらに、航空機の機動性を活かして急旋回や高度の急上昇・急下降を行うことで、ミサイルの追尾を物理的に回避することもあります。これらの手段を組み合わせることで、フレアがミサイルからの防御における一部でありながらも非常に重要な役割を果たすことになります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
領空は国家の主権が及ぶ重要な空域であり、国際法に基づいて厳密に管理されています。領空の保護と管理は、国家の安全保障にとって極めて重要であり、領空侵犯は国家間の緊張を引き起こす大きな要因となり得ます。領空と防空識別圏の概念を理解し、適切な対応を取ることが、国際的な航空交通の安全と平和を維持するために不可欠です。
また、領空侵犯は、偶発的なミスから戦略的な意図に基づくものまで、さまざまな理由で発生します。国家間の緊張を引き起こす原因となり得るため、各国は領空の監視や防衛に力を入れています。しかし、偶発的な領空侵犯に対しては、柔軟な対応と迅速な外交ルートでの解決が重要です。意図的な領空侵犯については、軍事的・外交的な背景を理解し、適切な対応を取ることが求められます。今後の日本の対応に注目です。
それでは今回はこの辺で!また次の記事でお会いしましょう!
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